RenoжReno(リノリノ)

リノベーション/新築/コンセプト賃貸アパート

手づくりパンと焼菓子のおみせ Hug @中山

手づくりパンと焼菓子のおみせ Hug @中山

淡いイエローのドアが目印の、手づくりパンと焼菓子のお店「hug(ハグ)」。

お客さまが3人も入ればいっぱいになるくらいの、こじんまりとしたお店です。
店主は、つるつるの玉子肌がキュートな、 イマイリエ さん。

おいしいものこそ、体に良い

小さなころから食べることが大好きだった、リエさん。
幼稚園の卒園アルバムに書いた将来の夢は、「パン屋さん」でした。
甘いパンやお菓子を食べたいけれど太りたくない・・・
そんな乙女心が芽生えた学生時代には、低カロリーでおいしい料理をつくることに夢中だったとか。

そんなリエさんが卒業後、病院や保育園で栄養士として働く中で、気づいたことがありました。

「食べものって、数字で計算しながら食べるものじゃないんです。 みんなで食卓を囲んでおいしく食べるものこそ、体に良いはず!って。」

「おいしくて、なおかつ体に良いもの」をつくるべく、その後、カフェレストランや某有名洋菓子店でパティシエ経験を積み、フードコーディネーターの資格を取り、オリジナル商品の企画や流通に関わるまでに。

この頃から、独学でパンを焼き始めたリエさん。
いつかパンと焼菓子のお店ができたらいいな…と
たまたま参加した開業セミナーをきっかけに、驚くほどあっというまに夢を実現してしまいました。

セミナーを主催した「カエルカンパニー」の岡崎さんは、女性起業支援事業家。
必要な手続きや機器の手配など、店舗プロデュースはお手のものです。
同世代の女性ということもあり、リエさんも安心してお任せできたのだそう。

「とにかく、裏方的な部分をすべてやってくださって。
私はその間、メニューの試作や買い出しでとにかく必死!
あまりにトントン拍子に進むから、ついていくのに精いっぱいだった(笑)」

地元で、からだもこころも、ほっとするお店を

お店を出す地域は、ずっと前から決めていました。

「温品(ぬくしな)は、子どもの頃からずっと住んでいる大好きな町。
このあたりって、パン屋さんやケーキ屋さんが全然なくって。
みんながやらないのなら、私がやるしかないか!って(笑)」

はじめて訪れた不動産屋さんで紹介されたこの物件との出逢いは運命的なものでした。

「となりに保育園がある!ってね、即決でしたね。」

忙しいお母さんと子どもたちにこそ、おいしくて体に良いパンを食べてほしいと願うリエさんにとって、またとない物件だったのです。

お店のリノベーションは、RenoЖRenoに依頼しました。
厨房は、元ラーメン屋さんとは思えないほど綺麗に使われていましたが、パン屋さん仕様にするため、シンクや排水以外のすべてを新しくしての大改造となりました。

売り場とキッチンをつなぐ、ゆらゆらガラスの窓は、yuka社長の提案。
お客さまからもスタッフからも、ほどよくお互いの姿が見えつつ、緊張しない。
見た目にもアクセントになって、可愛いと好評なのだそうです。

hugのこだわり

国産小麦と天然塩、野菜やナッツなどを使い、2種類の製法でつくる、hugのパンたち。

ひとつは、レーズン+(ひみつ!)の自家製天然酵母でつくる通称「しっとりもちもちパン」。
“ずっしり重くて、硬くて、酸っぱい”天然酵母パンのイメージがガラガラとくずれおちる、ふんわり柔らかくてしーっとりのパンです。

もうひとつは、乳製品&卵不使用の低温長時間醗酵パン。
牛乳やバターの代わりに無調整豆乳、菜種油を使った通称「オリジナルもっちりパン」です。

保育園給食をつくっていた経験から、アレルギーへの思い入れも、人一倍。
アレルギーがあってもみんなと一緒においしく食べてほしいから、hugにはアレルギー対応のパンがたくさんあるのです。

― ところで、なぜ、「パン」だったのですか?
「アレンジが効くのと、おやつにもご飯にもなるから、かな?
パンって、忙しいときでも食べやすいですよね。
忙しい毎日でも、体に良いものを食べてほしいという想いと愛情が、hugのパンにはたっぷり入っています。」

みんなに愛されるパン屋さん

ところで、取材させていただいた日、キッチンにある方の姿がありました。
それはなんと、リエさんのお父さま!

定年退職するまでカップラーメンすら作ったことがなかったという、お父さま。
今や、粉の軽量や洗いもの担当として、hugに欠かせない人材だそう。

そして、レジに立つのは、リエさんの中学時代の部活仲間だった女性。
子育てをしながら、hugを手伝っているそうです。
取材の日は春休み中だったので、お店の2階でおりこうさんに遊ぶかわいい姉弟の姿がありました。

売り場には、次々とお客さま。
お仕事の途中であろうスーツ姿の女性や、地元の年配の女性。
小さな女の子を連れた男性は、これまたリエさんの同級生でした。
「ひさしぶりー!元気だった?」と、笑顔がこぼれます。

「地元で愛されるお店にしたい」
そんなリエさんの想いはこれからも、パンを通してたくさんの人に伝わっていくことでしょう。

ちなみに、hugの店名は、「育む」と「ハグする」からつけられたそう。
食べるもので、体と心は育まれる。
それをよーく知っているリエさんだからこそ、つくることのできるおいしいパンとお菓子が、ここにはあります。

手づくりパンと焼菓子のおみせ hug

http://ameblo.jp/hugkumu/

竣工年月    2012年12月