広島市西区高須
Reno第6ビルヂング

 

アイデアを駆使して「人を呼ぶ」ビルへ

テレビ、新聞、雑誌、ラジオ問わず数多くのメディアに登場し、今では西のお出かけスポットとしての地位を確立している「Reno第6ビルヂング」。築31年のレトロな建物をフルリノベーションし、1階にカフェ、2階にシェアテナントを設けた複合ビルだ。
1階でカフェ「ケツァール」を営むオーナーパティシエが、「ここでカフェをしたい」と相談を持ちかけたのが事の始まり。現地調査に訪れた石井さんは「シャッターの閉まった店が多く、このあたりに住んでいる人しか歩かない場所。正直カフェだけでは人を呼び込むのは難しいかもしれない」と考えた。
『この町のシンボルにするためにどうすればよいか』をスタッフたちと考え抜いた末、2階の空いたスペースを3つに分けてお店を誘致することを思いついた。出店期間は半年限定。ここに、人を呼び込むための工夫があった。
東京や大阪、神戸にも小さなお店がたくさんあるが、大手のように商品の入れ替えサイクルが頻繁でなく、顧客を楽しませ続けるための工夫が少ない。お店が半年ごとに変われば、継続的な顧客の流れを確保できると思ったのだ。
 また、このシェアテナントは、店を出すオーナー側にとっても大きなメリットがある。あらかた箱ができているため、過大な初期費用をかけずに店をオープンすることが可能。さらに本格的に店を開店する前に、客のニーズや動向など市場リサーチもできる仕組みだ。
 第一期は、広島を中心に活躍するキャンドル作家、カバン作家、ガラス作家が入居。イベント出店や委託販売を主としていた女性3名が、個性的な実店舗を展開した。2ヵ月に一度イベントを開催するなど、多くの人で賑わうビルとなった。続く第二期には、造鉄作家、木工作家である男性2名が入居し、第一期とはガラリとイメージチェンジ。ミュージシャンでもある革小物作家の女性は、1階のカフェでライブを行うなどシェアテナントの可能性が広がった。


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第一期に入居したオーナーの一人は、シェアテナントで大きな手ごたえを感じ、「Reno第6ビルヂング」のすぐ側に自分の店をオープンしている。「自宅ショップをしたいけど、賃貸住まいだから出来ない」「大きな借入をしてまでお店は出したくない」と自分の店を持つことを諦めていたクリエーターたちにとっては大きなチャンスだ。
 有名な洋菓子店で修業を積んだパティシエのいるカフェと個性派ショップが一度に楽しめるレトロビルとして、タウン誌や旅行誌などにも多数登場。これまで商業施設のなかった「東高須駅」は、通勤で利用される駅という印象だったが、現在では広島県内外を問わず、電車を利用してこの町に人が流れるようになっている。

DATA
建築構造 鉄筋コンクリート造3階建
築年数 31年
施工面積199.33㎡(60.3坪)
工事費用800万


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