M様一家は、7人が仲良く暮らす、賑やかなおうち。リノリノとの出会いは、運命的でした。「以前に見た本で、リノリノさんが手がけた物件が素敵だなぁって、ずっと気になっていたんです。そしたら近所でリノベーションをした、お家のオープンハウスイベントが開催されていて、花屋に勤める長男がたまたまその会場にお届けに行って、それが、リノリノさんの仕事だと知ったんです。それで見学に行ったんですよね」。3人の女性スタッフが手がけた物件は、温かみに溢れていて、「我が家もこんな風にしたい!」と思ったら、もう迷いはなかったようです。昭和56年築のM様。最初は借家として入居し、現在は持ち家です。暮らしはじめて15年。愛着のある家に住み続けていたい、でも経年劣化も気になる。購入時のローンも残っているから、新築を建てるのも考えてしまう…。そして出した結論が、憧れのリノリノにお願いするリノベーションでした。1階にお母様とお兄様が暮らし、M様ご夫妻と3人のお子さんは2階で生活。床下に響く音を軽減する防振金物を付けるなど、それぞれが気兼ねなく暮らせるよう、配慮もしました。暮らし方も変わったといいます。「ムダなものを買わなくなりましたね。今のこの家に似合うかどうかが、購入する重要なポイントになっています」。
そもそも、この家に住み続けて大丈夫なのか。そう心配になったのは、東日本大震災の時。鉄筋と木造が組み合わさったこの家も、かなり激しく揺れたそうです。「耐震補強が必要だと感じました。それから、できるだけ家具を減らす工夫もしないと」。万が一の時に、家や家具につぶされない耐震性の確保を強く意識した震災でした。そんな不安も払拭してくれた今回のリノベーション。区の助成金を利用して耐震補強もしっかりと行った上で、一番ポイントを置いたのは、みんなが顔を合わせるLDK。もともと、家族揃って過ごす時間が長かったというM様ご一家。家族が集う場所としてリビングは広めにとることにしました。ベランダ側の掃き出しの窓はそのままに、キッチンの背面にも採光を考慮した窓を取り、明るい空間が誕生したのです。フルタイムで働く奥様の、家事の負担を軽減できる生活動線も重視されました。たとえばキッチンスペースにゆとりを持たせる。洗面脱衣所はキッチンの近くにする、など。もちろん、機能性だけではありません。リビングの壁に埋め込まれたブリックタイルや、光を反射してキラキラと輝くダウンライトなど、全体がシンプルなだけに、好みのテイストで部屋づくりを楽しんでいらっしゃいます。「以前は間取りに合わせて暮らしていました」という奥様。だからなおさら、家族に合わせたリノベーションの良さを実感しているようです。
間取り変更のポイントは、広い空間と家族の個室を作ること。以前は廊下のスペースだった部分もLDKにし、大きなウォークインクローゼットも設置。以前使っていたタンスは処分して、家族の服は、ここにたっぷり収納しています。「子どもたちも、自分の好みや要望を伝えられる年齢で良かったですよ」とM様。ご主人はアメリカンテイスト。長男はヨーロピアン、次男はハワイアンと、個室も個性豊かなインテリアになっています。でも、過ごす時間が一番長いのはやっぱりリビング。 帰宅時間がばらばらなため、全員が集まることはなかなか難しいのですが、「私が夜遅く帰ってきても、誰かしらがリビングでくつろいでいますよ。家でホッとしている様子がよくわかるんです。気持ちよく過ごせるようにと、掃除も率先してするようになったし。次男は週に1度、洗面をぴかぴかにしてくれるし、長男は花を買ってきて飾ってくれます」と奥様。リビングは家族の交差点。お互いの顔を見て、会話が生まれる。そんな「交わりの場」として、M様邸の真ん中に存在するのでした。